【翻訳記事】Eggscelent Execution: 2012 World’s Masters Finalist Team Analysis (3/3)

 この記事は8/22の記事及び8/24の記事の続きとなります。そちらを見ていない方は先にそっちに目を通して頂けるとありがたいです。

訳注:翻訳遅くなって本当にごめんなさい……。例によって意訳全開、英検四級クオリティでお送りしております。以下訳文。
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シナジー&組み合わせ


ヒードランクレセリア

 ヒードランクレセリアはこのパーティにおいて最も明確かつ優秀なシナジーを持つ組み合わせだ。ヒードランは地面、水、そして格闘という3つの弱点を持っている。このパーティはヒードランの地面弱点を克服する事を意図して制作されており、スキルスワップにより浮遊を持ったヒードランの弱点は2つとなる。また、クレセリアが日本晴れを使用すれば、天候が書き換わるか5ターン経過するまでの間ヒードランの水弱点は取り除かれる。 ドランクレセの並びによりたった1つしか弱点が無くなり多くの耐性を持つヒードランは、身代わりとその晴れ状態での強力な打点も相まって、ドラン対策を水タイプや地面タイプの技に依存している構築を分からせることが出来る。

 しかしながら、ヒードランにはいくつかの欠点がある。彼の残された弱点である格闘タイプは、ジュエルカポエラーの流行もあって多くの構築に搭載されている。幸いにも、ドランのヨプのみと耐久及びS調整によって、多くのカポを抜いて一撃で落とす、もしくは隣との集中攻撃で落とせる程の高打点を取ることができ、またジュエルインファを受けてなお身代わりを貼る事もできるため、このパーティの使用者が格闘タイプを落としにいくプレイングをした時に多くの格闘タイプに対して長く場に居座られることはない。クレセリアエスパータイプヒードランの天敵である厄介なカポを排除する助けになり、2体の間のシナジーをより強力なものとしてくれる。ドランに残された唯一の欠点はその素早さの遅さであり、特に素早さと火力に長けた攻撃的なパーティを相手にする時に顕著に表れる。しかしながら、そんな時にクレセリアの4つ目の技であるこごえるかぜの追加効果であるS低下によって、ドランはクレセのサポートを受けながら常に先制攻撃をすることが可能になる。こごえるかぜを当てればクレセリアはガブの反撃より先に行動する事が出来るため、先制スキスワでドランに浮遊を渡し、ガブの地震はクレセにほんの少しのダメージを与えるだけという結果に終わらせることが出来る。


ヒードランボルトロス

 パッと見では、ボルトロスヒードランはそのタイプや耐久においてあまりシナジーしていないように見える。しかしながら、実際問題その直観は正反対であるということを私は発見した。ドランの試運転をしている時に、私はドランが最も有効に働くのは先制を取れる状況であるという事に気がついた ――低HPの相手に攻撃のプレッシャーをかけて交代を催促し、殴る代わりに無償で身代わりを貼ることができるからだ―― 。しかしながら前述した通り、ドランのSのは平均的であり、遅いポケモンを抜き去るには十分なすばやさは持っているものの、よりメタゲーム的に多い高速高火力なポケモンと対戦する時には上から一貫した打点を取られてしまう。そんな時にボルトロスが有効に働く。この時点で誰もがボルトロスが何をするのか、どのように働くのか、そしてどのように相手に嫌がらせをするのかについては知っているとは思うが、しかしながら私が今まで戦ってきた多くのボルトロスは電磁波をS操作としてではなく25%のバグに期待する事をメインに使用しているように思えた。この構築において、麻痺はそれとは別の役割を果たす。ボルトロスの特性いたずらごころによって、その電磁波は優先度+1で打つことが出来る。これはつまり、ほとんど全ての状況において、電磁波がそのターンの最初の行動になるという事である。ボルトロスが持つ相手の素早さを低下させる能力によって、対戦相手がボルトロスの麻痺撒きを必死に防ごうとしている間に、ヒードランは身代わりを貼るのに十分な時間を得ることが出来る。

 私は既に、いかに多くの人々が穏やかボルトと戦う際に苦しんでいるかということについて言及し、また私自身の経験からもそれを語った。相手のパーティのSを下げる事は信じられないほど有効であるが、もしこちらのパーティにも麻痺を撒かれてしまったらそれは全くの無駄骨となってしまう。だからこそ、このボルトロスヒードラン及び他のポケモンの動きを良くサポートするのは間違いない。このボルトは相手のほぼ全ての穏やかボルトロスを抜くのに十分なS努力値を振っていて、先手挑発を打って相手の電磁波を止めることができるため、私が求める十分な耐久値を確保しながらもこちらが強気に動く事を可能にさせてくれる。最後に、ボルトロスの持ち物である電気ジュエルは、1発目の10万ボルトを集中攻撃において堅実な打点にすることを可能にしてくれる。ドランの高い火力から放たれる熱風と組み合わせられた時、対戦相手は何が起きたかを理解するより前に多くのポケモンを落とされてしまうだろう。ドランとボルトの組み合わせはこの防御的な構築に攻撃的な要素を提供してくれて、対戦相手に圧力をかけ続けることができる。


カポエラー+他5体全員

 ん? これは一体どんなシナジーの分析かって? カポエラーの個別解説を書いている時に、私はカポエラーがこの構築の全てのポケモンを良くサポートしているという事に改めて気づかさせられた。既に述べたように、私はカポエラーを主に威嚇と猫騙しに重点を置いて使用していた。私はまたこの構築でカポを有効に使用するためには、交代を駆使することが絶対的に重要であることについても言及した。カポエラーはこのパーティにおいて、猫騙しと威嚇によって正しいタイミングでポケモンを投げる事を可能にするというとてもユニークな役割を果たしている(訳注:ここよくわかりませんでした><)。カポエラーはこの構築に不可欠な岩耐性を持っており、バンギラスやその他厄介な岩タイプに対処することでパーティの他のポケモンをサポートした。カポの威嚇はヒードランの身代わりを生き残らせる助けにもなり、例えば岩雪崩のような物理攻撃で身代わりが壊されるのを防ぐことができ、これは大会を通して何度も非常に有用であると実感した。カポはまた、ボルトロステラキオン(物理耐久が足りてない2体だ)をサポートすることもでき、そいつらの場持ちを良くして相手に高打点を取ることを可能にした。また、威嚇という特性はスキルスワップでいつでも再起動することができる。私はしばしば、カポを後出ししたターンにすぐスキスワして相手のAを2段階下げる動きも使用した。この構築を組む際に私はまずDの努力値を優先的に配分したので、カポエラー自身を含むほぼ全てのポケモンがBより高いDを持っているが、これはカポエラーを交代出しして威嚇を撒くことが極めて容易であったため全く問題にならなかった。


カポエラーテラキオン

 カポエラーテラキオンの並びは、私が攻撃的なプレッシャーをかけて素早く脅威を取り除きたいと思った時にお気に入りの組み合わせの一つだった。2011年からテラキオンの人気が低下したため、私は多くの人々がテラキのダメージ計算結果を具体的には認識していないと感じていて、したがって私はすぐに拘り鉢巻の採用が自明なものであるとは分からなかった(訳注:ここよく分からん、文脈がつながらない……)。カポテラキは私が最も脅威だと思う存在である相手のボルトロスを速やかに排除するのに非常に堅実な初手だった。私は相手のボルトロスをゲーム序盤で落とす手っ取り早い方法としてこの初手を愛用していて、これなら猫騙し+岩雪崩で集中をかけることで簡単にボルトを落とすことが出来る。しかしながらこの戦略はリスキーで、相手の隣が守るか怯むかしない限りテラキオンを落とされてしまうだろう。幸運なことに、カポの猫騙しやテラキオンに確定2発を取られてしまうという恐怖が対戦相手にしばしば守るの選択を強制させてきた。威嚇もまたテラキオンが一発で落とされる事を避けて場持ちさせ、ゲーム終盤の掃除役としてテラキオンを温存する助けとなった。


ボルトロステラキオン

 ん? この組み合わせ前にもどっかで見たことないか? この組み合わせは、2011年ではポピュラーな初手だったボルトテラキを、2012年でも有効に働くように修正したものだ(訳注:イッシュダブルの考え方を全国ダブルに応用したという文脈でしょう)。この初手は相手の穏やかボルトを可能な限り迅速に処理するために特化して作られたものだ。私はこちらのボルトロスで挑発を打ち、テラキオンが麻痺する前に岩雪崩で相手のボルトロスを落とすことが出来るようにした。この初手はボルトロスに対処することを第一に考えたものであるが、他の用途もまた素晴らしいものだ。ボルトロスはこの構築においてはテラキオンに続いて2番目に速いポケモンであり、効果抜群で攻撃を当てることが出来ればしばしば相手を一撃で落とすことが可能である。この組み合わせは相手に、しばしば立て直すことが不可能な高速打点を提供してくれる。ボルトテラキはまた、こちらが有利になる運ゲーを仕掛けるにも非常に有効な組み合わせだ。もし私が岩雪崩+電磁波と動かした場合、電磁波を打たれた側のポケモンが動いてくる確率はあまり高くはないだろう。


カポエラーヒードラン+ナッシー

 私は先程、カポエラーはこの構築の全てのポケモンをサポートしていると言ったが、ここで再びカポについて言及すべきだと思う。ナッシーを選出すると決めた対戦において、私は一般的に後発にナッシーを置いて、ナッシーが苦手なポケモンを排除したあとでゲーム後半に無双させることを目標に立ちまわった。カポエラーヒードランはその目的を遂行するのに必要不可欠なポケモンだ。ナッシーの弱点である炎/虫/氷/毒/飛行/ゴースト/悪の全てに対してヒードランは耐性を持っており、カポエラーも毒/虫/悪に耐性を持っている(訳注:いやカポに毒は等倍なんだけどなー、誤植でしょうか?)。ヒードランがナッシーに対する脅威を取り除くとともに、カポエラーが威嚇と猫騙しによる強力なサポートをすることで、対戦相手はしばしばナッシーを妨害する術を失って手遅れになるまでナッシーの対処ができなくなった。逆の面から見ても、ナッシーはヒードランの弱点全てに対して抵抗を持っていて、脅威となる攻撃に対してたやすく後出しすることが出来る。ドラン、ナッシー、そしてカポの間ではどこを取っても少なくとも1つの相性補完ができており、これは私の防御的な構築の中核を成す要素である。



今回の教訓

 今回の事から私がしいて言うことがあるとするならば、あなたは物事を上手く進めるために標準的になる必要は無いということだ。創造的なエースを持つということは、しばしば不利な状況からこちらのペースに持ち込むことを可能にしてくれる。決勝のRay戦において私がベストを尽くすことはできなかったとしても、私はこの構築とそれが成し遂げた結果を誇りに思う。もしあなたがこのパーティを初めて見たのが決勝の試合であるならば、それらの試合はかなりの例外であるので、他の試合でもこのパーティを見てみることをお勧めする。全体的に見れば、このパーティはスイスラウンドや決勝トーナメントにおいて非常に良く働いてくれていて、また私は来年のバンクーバーでもう一度優勝に挑戦したいと思っている。私は、私を支えてくれた方々、私が欲しかった色違いのポケモンの乱数をしてくれた方、途方も無い時間を私との対戦及び調整に付き合ってくれた方、そして私にこの構築を組むように本当に良く働きかけてくれた方、そして全ての道のりにおいて私をサポートしてくれた皆様に感謝したいと思う。皆様の助けが無ければ、私は到底こんな所まで到達することなど出来なかっただろう。

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 というわけでWCS2012準優勝構築の解説記事、全文訳でした。(3/3)をうpするのが遅れてしまい、待っていた皆様には大変申し訳ありませんでした。例によって明らかな誤訳や誤植を発見した方はコメントかTwitterで知らせてくれるとありがたいです。
 次回の更新はWCS2012優勝構築解説記事の翻訳を予定しています。
 この記事を掲載するにあたり、助言をくれたリア友のnago氏、(3/3)の翻訳に協力して下さった@GayHerrington様、原文を公開して下さったWolfe Glick様、そしてこの記事を最後まで読んで下さった全ての皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。海外記事の翻訳という分野がより活発になることを祈りつつ。

訳者:らす